鉄板製の矩形の部材を組み合わせ、空調機械から居室などへの空気の流れ道とするもの。空気調和設備、換気設備、排煙設備などに用いる建築設備のひとつである。
送風機の吐き出す圧力によって空気が流れるため、所定の風量を確保するためには一定の断面積が必要である。極端に長くて細いと風量が減り、冷えない・暖まらないの苦情の原因となる。
角ダクトや丸ダクトは建築設計図から施工図に基づいて製作が行われ、現場で組み合わされて完成する。
ダクト同士の接続は、ダクト端にフランジ加工をしてつなぐのが一般的であり、主に次の二つの方法が採用される。
角ダクトの端を外折にめくり上げてフランジとし、四隅の欠けた部分にコーナーピースと呼ばれる部材(板厚は1.2mmまたは1.6mm)を取り付け、現場でコーナーピース同士をボルトとナットで接続する方法である。「TDC[4]」や「TFD」と通称される。ボルト・ナット固定は四隅のみで、四隅以外の辺の部分はダクトクリップ(板厚は1.0mm)という金具で密着させる。
鉄やステンレスなどのアングル鋼で製作したフランジを、ダクトの両端にリベットまたはスポット溶接などで取り付け、現場でそのフランジ同士をボルト・ナットで固定してつなぐ方法である。単に「フランジ」「FG」と通称される。一般にボルト穴の間隔は100mmであり、口径の大きなダクトではボルト・ナットの数が多くなる。
近年はダクト製造と現場作業の手数がより効率的な共板工法が主流であるが、排煙ダクトなどの強度が必要なダクトの場合はフランジ工法が今でも主流となっている。 また、丸ダクトにもフランジが用いられることがあり、その場合は接続に際して穴合わせが不要になるように、フランジが回るようにされた「ルーズ仕様」が多く用いられる。
内部を通過する空気の流れによってダクトの鉄板が振動を起こしたり、過大な圧力で変形したりするのを防ぐため、必要に応じて補強する。
中間補強 – フランジ形状のアングル鋼などを長いダクトの中間部に取り付ける。ダクトの長さが分割されたのと同等になる。
縦補強 – 内部に人が入れるほど大型のダクトでは、気流方向にもアングル鋼などを取り付ける場合がある。
タイロッド – ダクトの内寸を保持するように突っ張り棒(Tie Rod)を取り付ける。ただしタイロッドだけでは鉄板の振動を抑えられない場合もある。
リブ – 幅10mmほどのひも状の補強リブ(Bead)を気流と直角に間隔300mmで施す。
ダイヤ – ダイヤモンドブレーキ(CrossBrake)。鉄板の対角線に薄く折り曲げを施す。
これらはそれぞれ単独で使われるよりも様々に組み合わされることの方が多い。また板自体の加工方法によっては板厚を一番手上げたのと同じ効果が得られる場合もあり、より軽量化できることもある。
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